Aión|ピンクの灯火が導く
ピンクの灯火が導く

音旅を続けるなかで、
あとになって一本の線で結ばれていたと気づくことがあります。
今年の春、
「Aión|受け渡されていくものの中で」という記事を書きました。
大阪で生まれた音が仙台へ渡った2026年3月。
東北で育まれてきたものが西へ向かう7年に渡る繰り返しの後に、自然とその形は、現れていました。
人と人。
土地と土地。
離れて存在しているものが
確かにつながっていることを感じていました。
そして5月。
太平山の麓で過ごした二日間は、
それまで別々に見えていた流れが、
ひとつの場所で重なり合うような時間となりました。
受け継がれてきた灯
今回灯された四つの蝋燭には、
ひとつの物語があります。
それは東北・冬の音旅2025の途中で受け取った、
唐松神社の廃蝋燭から生まれた青色のリメイクキャンドル。
その後、
大阪で開催した「あなたの音 十二」の場へ運ばれました。
十二の音が揃い、
最後に「Eternal ― 永遠 ―」を奏ではじめた時、最初の一音で、
その灯が消えました。
あの瞬間は、
強く記憶に残っています。
そしてその翌朝、西でうまれた音を東へという感覚とともに、青い機体の飛行機に乗り、大阪から仙台へ渡り、ピアノアートコンサートを行いました。
時が経つにつれ、
あの時、灯は消えたのではなく、
そこにいた一人ひとりの内側へ、
火が移った瞬間だったのかもしれない.....
そう確信するようになりました。
同じ時期に制作されていた残りの蝋燭が、
再びわたしのもとへやってくる時が来るとは想像もしていませんでした。
残っていた蝋燭の数は四つ。
それぞれ異なる色を持ち、
どこか水・火・地・空を思わせる蝋燭たちでした。

仙台(太平洋)から太平山へ

太平山に抱かれる2日間の初夜は、
秋田駅前の「道草」で演奏しました。
そこは、
この場所のご主人のお父様が遺された趣味部屋。
壁一面に並ぶレコード。
長い年月をかけて集められた音の記憶。
そして、
この日のために準備してくださったRolandの電子ピアノ。
希少なスピーカーから響く音に包まれながら、
四つの蝋燭に火が灯されました。
翌日。
その灯火は、
太平山の麓で開催した
「あなたの音 十二&セラピー」の場へ運ばれていきました。
振り返ればそれは、
西と東を繋いだ大阪→仙台と重なるように...
前夜に生まれた時間そのものを、
次の日・次の場へ受け渡していく出来事だったように思います。
太平山で残った灯
太平山の麓での時間が終わる頃。
四つの灯火のうち、
三つはそれぞれの人の元へ帰っていきました。
そして残ったひとつの灯。
その色は、
ピンクでした。
太平山で過ごした時間を振り返ると、
包み込むような優しさ。
大地の懐の深さ。
慈愛。
母性。
そんな気配が、
この色に重なって見えてきます。

交差していたもの

太平山での演奏の時間を経て、
道草のご主人はこんな言葉を届けてくれました。
「道草で出会えた皆さんが、道草が触媒になって何か反応する瞬間を感じたいんだなぁと。」
その言葉を読んだとき、今回起きていたことを表しているように感じました。
音楽を奏で、聴いていただくだけでなく、
人と人。
土地と土地。
記憶と未来。
それらが出会い、何かが動き始める。
そんな時間だったのかもしれない...。
そう、明確に言語化できたとき、
とてつもなく、救われる気持ちが湧いてきました。
「あの日のあの場、あの場所に流れてきた時間、そしてこれから流れていく時間が確かに重なっていたように感じます」
という言葉は、
この場を整えてくださった方から届きました。
過去から運ばれてきたもの。
これから生まれていくもの。
太平山で灯された光は、
その接点に現れていたのかもしれない。
後日、音源を聴いた方からは、
「葉っぱの葉脈や、土の微生物とかに私達も溶け込んで境がなくなる氣持ち良さ」
「人間も、山も、見えない世界も、境のない世界そのものでした」
という感想が届きました。
振り返ると、
東北で育んだ歳月を経て、受け取ったもの。
大阪で生まれた音。
仙台で結ばれた世界。
太平山で灯された光。
それぞれが大きなひとつの流れの中にあったのだと、改めて、感じています。
ピンクの灯火を携えて

太平山で受け取ったピンクの灯火。
それは、終わりではなく、
次の旅へ向かうために手渡された光。
別々に見えていた出来事は、
いつもあとから一本の線で結ばれていく。
山から海へ。
東から西へ。
そこで感じた世界は、自然と受け継がれていく。
この夏、
音旅は、安房へ向かいます。
そこからまた、
新たな旅が始まる。
弓が静かに引かれ、
これまで集まってきたものがひとつになる場。
太平山で受け取ったピンクの灯火を携えて....
その先へ、
歩みを進めることができる奇跡を噛み締めながら....
